Jストリームは、全国の高等専門学校(以下、高専)の学生が参加し、10月15日、16日に高崎で開催される「第33回全国高等専門学校プログラミングコンテスト(以下、高専プロコン)」に協賛し、新たな技術者の育成を支援しています。
高専に通う学生の皆さんのなかには「将来はプログラマーやITエンジニアになりたい」と考えている方も多いと思います。高専で学んだ知識や専門性を活かし、社会人になっても「スキルを高め続けられる環境」を手に入れるためには、どのように就職する会社を選び、仕事と向き合えばよいのでしょうか?
この記事では、高専からJストリームに新卒入社し、活躍する2名のITエンジニアに「スキルを高める」をテーマに話を聞きました。
高専時代に熱中した経験が、働く楽しさの原点に
Jストリームは、1997年に世界初の動画配信専門会社として誕生しました。企業向けサービスを提供していますが、取引先企業は年間1,200社以上あります。メディアやエンターテインメント業界における一般消費者向けの動画配信支援はもちろん、金融業界や医薬・医療業界をはじめとした様々な業界に対して、動画を活用したコミュニケーション活動のDX推進を支援しています。
動画の利用シーンは多種多様です。Jストリームでは、アーティストライブや娯楽用の動画配信はもちろん、一般企業での利用においては、広告やPR用のムービー、Web講演会、バーチャル株主総会、教育・トレーニングなど幅広く携わっています。
私は木更津工業高等専門学校 情報工学科を卒業して、2013年に新卒で入社しました。小学校時代からITに興味があり、父の影響で自作PCを組み立てて遊んでいました。高専ではプログラミングやネットワークのアルゴリズム、電子機器の制御も学びました。
高専時代に、学生寮のネットワークの管理運用をしていたんです。メンテナンス者不在が原因で、回線速度が遅くなり、「私にやらせてもらえませんか」と相談してみたら管理を任せてもらえることになりまして。運用は2年間担当しましたが、ここでトラフィックを処理するやりがいと技術を覚えました。
Jストリームは学校の求人票を通して知りました。オンプレミスでCDN(コンテンツ・デリバリー・ネットワーク)を構築している会社で、Jストリームでは、大量のトラフィックを処理するための大規模なネットワークや配信に関する技術開発を行っています。先生からも「興味に合うのでは」と薦められ、自分の経験や志向に合っていると感じて応募したんです。
私は、東京都立産業技術高等専門学校 電気電子工学コースを卒業して、2016年に新卒入社しました。学生時代はロボット制御や電線の仕組みなどが専門でしたので、プログラミングにも触れはしましたが、専門というわけではありませんでした。
学生時代の活動として、あえてプログラミング以外の話をしてもよいでしょうか。というのも、その経験が私にとってITエンジニアという道を選んだことを含め、働く楽しさの原点だからです。
高専の2年生から4年生は、文化祭の実行委員会の活動に熱中していました。3年間活動して、色彩担当として学園祭アーチの制作などに携わりました。部長と連携してコンセプトを決めたり、デザインを制作担当に割り振りをしたりと、自分も手を動かしながら全体進行を管理していました。
モノづくりにおいては細部のこだわりや運用を含めた裏側での工夫が、成否に大きく影響します。文化祭当日は、学内の盛り上がりを見ながら、裏方の醍醐味を味わっていました。実行委員会は10人くらいで、チームが一丸となってひとつの目標に向かっていく過程がすごく楽しかったですね。
就職活動中に自己分析をして、興味のある分野がライブ配信だったんです。当時はちょうどYouTuberが注目され始めた頃で、様々なライブ配信サービスが生まれていました。ちょうど学校の求人票でJストリームを見つけ、「世界初の動画配信サービス会社」という存在に魅力を感じました。インターネットライブの裏側で何をやっているのかに興味がありましたし、裏方の仕事が好きでぜひ経験を積みたいと思ったのです。
――ご自身が学生時代に熱中した経験へ通じるものを、Jストリームにも感じたのですね。
幅広い技術領域に触れながら、自らの専門性を磨く
――お二人は、入社されてからそれぞれどのような業務を担当してきましたか?
私は、最初の1年半はライブエンジニアとして、ライブ配信業務を担当しました。その後、インフラ部門に3年半所属し、次に2年間システムの開発をしました。そして、再びインフラ部門の開発を担当し、現在は動画やインフラ領域のチーフテックリードとして、技術開発の責任者を務めています。チーフテックリードは、担当技術領域に対する技術的調整や改善を担う役割です。開発の生産性とシステム品質を向上させる立場で、技術選定も手掛けています。
私も入社後2年間はライブエンジニアとして経験を積み、インフラや自社サービスの運用を担当する部署に3年間所属しました。その後の組織再編時に、「開発と運用のどちらがやりたいか」と上司に聞かれた際に、運用希望を伝えました。「動画配信の裏側の仕組みを実務ベースでより深く理解して、スキルアップしたい」という理由からです。
以来2年間、SREエンジニアとして運用業務を担当しています。ライブエンジニアとしての現場経験を活かし、現在はライブ配信の他、自社の動画配信プラットフォームやCDNサービスなどの監視や運用に携わっています。監視とシステムに特化したポジションで、Zabbix、Datadogなどのツールを使ったり、自らコードを書いたりもして監視の設計やデータ取得、グラフ化も手がけています。
――お二人とも様々なポジションを経験されていますね。社内では「この部署に行きたい」という希望は聞いてもらえるのでしょうか?
異動の希望は、最大限考慮してくれると思います。私は様々な部署に異動することで視野を広げることができました。それらの経験をもとに、現在では学生時代から興味があったインフラ領域に軸足を置き、スキルアップを図っています。
また、インフラ関連の開発に際しては、コンポーザーを扱いたい旨の希望を伝え、任せてもらうこともできました。新しい技術が次々と出てくるITエンジニアリングを仕事にする上では、「●●な点で、この技術が気になるからやってみたい」と自分の考えを明確に伝えることが大切だと思います。
Jストリームでは、異動せず一分野を突き詰める社員も多く在籍しています。私は、M.S.さんと同様に様々な部署を異動した経験を持つのですが、自分にはとてもよかったと思っています。それぞれの現場経験をもとに、全体工程をイメージしながら、仕事を進めることができるようになりましたね。
Jストリームの社員は2年目や5年目など、節目節目でキャリアプラン研修を受けています。そのなかで目標を定めながら、「自分はこの先どのように歩んでいこう?」と、キャリアを棚卸ししているんです。
制度面では、全社人事制度とは別に、ITエンジニアを対象とした「Tech人事制度」という制度があります。「Tech人事制度」では、年齢や社歴に関係なく個人の技術力を人事評価の主な対象としています。
ITエンジニアのなかには、生涯ITエンジニアとして技術を追求していきたい人もいます。技術の分野に限定しませんが、ある種「振り切る人」がいないとイノベーションも起きません。「Tech人事制度」は、ITエンジニアの成長と技術力発揮を支援する制度だと思います。
現在、「Tech人事制度」を活用しているITエンジニアは10名ほどです。私の場合は、前述の研修で「Jストリームのサービスを一からすべて作れるITエンジニアになりたい」と、自分の意思を固めていたため、本制度を使って技術を突き詰める道を選びました。
アイデアをサービスという形にして、成長させられる自社開発の魅力
私は、自分が提案したシステムを使って配信が無事終わった時に達成感を感じますね。終わるまでは「ちゃんとシステムが動くかな?」と不安になるので(笑)。以前に某ライブ案件で専用環境を構築した際には、自分が提案した録画用のサーバの設計が採用されて嬉しかったですね。どのようにライブ現場の動画データを引っ張ってきて、どうつないでといったことを調査しながらアイデアを形にしていきました。そのシステムは現在も継続しているんですよ。
あとは、運用環境においては、オンプレサーバとクラウドサーバのどちらも扱います。ふたつのサーバ技術を扱える環境はなかなかないので、ITエンジニアとして貴重な経験ができているなと思います。
そうですね。ほかには、ライブ配信の裏方業務として、専用のソフトにも触れられます。バックオフィスのサーバにソフトウェアのインストールをしたこともありますし、クラウド関係ではスケールアウト周辺の技術に触れることもできました。数多くの技術にタッチできる環境なので、幅広く自分の知りたい技術を身につけていけると思います。
やりがいを感じるのは、新しいアイデアを思いついて、システムを作り、それが動き出した瞬間ですね。Jストリームは自社開発をしている会社です。自分が考えたものが実際に製品やサービスとして社会で使われて、成長させられるのは、やりがいですね。
「自分以外の人が引き継いで運営し続けられるか?」は社会人になって身についた意識ですね。顧客やチームメンバーなど、私以外の人も扱えるように、どのような設計とコードを書いたのか、ドキュメントを残しています。
もうひとつ重要なことは、システムをダウンさせないこと。趣味で作っていると、システムがうまく動かなくてもいいんです。しかし、ビジネスとしてお客様へ提供するものは、安定してちゃんと動き続け、使えるものでないといけない。こういった責任感が求められるようになります。
私は、成功しても失敗してもドキュメントを残して共有していくことを心がけるようになりました。成果を残せたら「なぜか?」、ダメだったら「なぜか?」と問い直して、チームメンバーに共有して、どう改善していくかを考えていく。そうした地道な積み重ねのなかで自身のスキルは向上していくと思うんです。
私はプライベートで、会社で使ってないツールや技術を意識して使っています。最近では、KubernatesというコンテナシステムでのコンテナランタイムやLinuxというOSのディストリビューションをあえて会社とは違うもの使用しています。もしかしたら、趣味でやっていたことが、会社や別の場所で使えるかもしれません。以前に、プライベートでのサーバのファイアウォールの設定に関して、趣味全開の凝った書き方にはまったことがありました。そしたら、きれいに書けたので会社に提案したところ、採用されたという経験があります。
やりたいことは一緒だけど、使う技術やツールを変えて開発していくと、プロジェクトの選択肢が増えますし、技術に対する本質の理解が深まるように思います。
私も意識して新しい技術に触れるようにしていますが、最初は、必ず公式HPに書いてあることに準拠しながら開発を進めています。
レジュメをさらっと読んで、「こうすればいいんだな」と我流で進めると失敗してしまいます。だから基本に立ち返って、文言も守りながら、説明書に書いてあることを守ってステップを踏んでいくようにしてるんです。
検証系は特にそうで、我流でやると逆に遠回りになります。基礎的な部分から学び、できるところを把握して、発展させていくことを心がけていますね。
熱意をもって高め合える仲間と技術を楽しんでください!
――今日は、「スキルを高める」をテーマに話をうかがってきました。最後に、高専プロコンへ出場される皆さんへメッセージをお願いします。
私からは2つあります。
一つ目は、会社のプロジェクト経験を積む中で、プロコンにも共通する開発の基本だなと思うことです。それは、メンバー間の連携が成果を分けるということです。報告・連絡・相談を密にしていけば、スピード感を持って開発に取り組んでいけるのではないかと思います。
もうひとつは、「ルールの穴をつくのって、楽しいですよね」ということです。このようなプログラミングの大会ではルールの穴をついてみましょう。「解釈次第でこういった手法も取れるよね」と発想を意識的に変えてみるんです。アルゴリズムの勝負は、発想の転換が高得点につながりやすいところがあると思います。発想の転換は、社会人になってからもプロジェクト等で良い成果を生み出しやすいと思います。
M.S.さんのメッセージを受けてという形になりますが、「自分達が実現したい機能や表現をどのようにコードに落とし込むのか」、ここに集中することが一番重要だなと思います。社会人のプログラマーに質問するとみんな同じようなことを言うと思いますが、それだけ普遍的なことなのだと思います。
途中大変なこともあるかと思いますが、作品が完成した喜びを思い浮かべながら、ぜひ最後まで探究し続けてもらえればと思います。成功をお祈りしています!
私もネットワークや開発が好きで、「努力」ではなく、半分「遊び」のように知識やスキルを吸収してきた人間です。そうやって楽しめるもの、熱中できるものを追求することで、技術者としての道が開いてきました。
熱意をもって開発に取り組める人は、高め合える仲間です。そして、もし、Jストリームに興味を持ってくださったなら、ぜひお話を聞きにきてください。社会人ITエンジニアの先輩として相談に乗りますよ!
――今年の高専プロコンでは、どのような作品が集い、戦いが繰り広げられるのか楽しみですね。本日はどうもありがとうございました。
【関連情報】
・高専プロコン公式サイト https://www.procon.gr.jp
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