「ロールモデルが身近にいない」「自分のキャリアをどう描けばいいかわからない」──。
そんな声を受けて、1月14日に開催されたのが、「PFキャリアゆるトーク会『先輩のリアルを聞こう!』」です。
本イベントは、プラットフォーム本部(以下PF)内にある教育ナレッジプロジェクトの企画により実施されたもの。PF本部で活躍する4名の先輩社員が登壇し、それぞれのキャリアの分岐点や迷い、価値観について率直に語りました。
本レポートでは、当日のトーク内容から見えてきた「キャリアのリアル」と、参加者に届けられたメッセージを振り返ります。
(レポート・文/Voice編集長・久保田直美)
「正解のないキャリア」を前提にした場づくり
司会は、新卒1年目のエンジニアK.I.さん。新卒4年目の本イベントのリーダーを務めたK.A.さんと中心になり、キャリアに関する自分たちの悩みやもやもやを出発点に企画・運営を担い、当日は司会・パネル進行を務めました。
登壇者は、立場も経歴も異なる4名です。
・PF本部 副本部長兼ネットワークインフラ部長:奥田康司さん
・プロダクトサクセス部2課長:Tomさん
・技術開発部Equipmedia開発課長:石田光資さん
・エンジニア推進室テックリード:今井宏謙さん
イベント前半は、各パネリストが5〜6分のLT(ライトニングトーク)で、自身のキャリア年表や価値観を紹介しました。後半は、パネルディスカッションで、議論を深めました。

分岐点は、成功体験だけではなかった
それぞれのキャリアは多様でしたが、印象的だったのは、キャリアの「分岐点」として語られたできごとが、必ずしも成功体験だけではなかったことです。
奥田さんは、異業種を渡り歩いた後に、IT業界へ転身。「このままでは潰しがきかない。手に職をつけておかないと」という危機感が背中を押し、思考を深め、技術を身に着ける原動力になったと振り返りました。その後、SIerを経てシステムコンサルタント、複数の事業会社にて通信キャリアシステムや決済システムを手がけ、運用・インフラ設計・マネジメントに携わるキャリアを歩んでいきます。
Tomさんは、Jストリームで開発エンジニアから別部門への異動を経験。直後は、「(開発エンジニアとして)積み上げてきた価値がすべて失われるのでは」と強い不安を抱いたそうです。しかし実際には、異動先では、これまでの知識や経験が別の形で活かされ、周囲から感謝される場面が続きました。日々、承認されている実感を得て、かつて感じたことのない働く楽しさを実感する毎日へと変化していきます。
石田さんの分岐点は、Jストリームへの転職とマネージャー就任でした。「みんなめっちゃ楽しそう」とJストリームへの転職し、開発に専念する日々を過ごす中でマネージャーを打診されました。当初は苦手意識から、自分がその役割を担う姿を全く想像できなかったそうです。その後に浮かんだ思いが、「じゃぁ、何やってもいいんだ」「むしろ、面白いことになりそうだ」と発想を切り替えて挑戦。マネージャー経験を通じて視点が広がり、自身とチームの双方に変化に手ごたえを感じたと話しました。
今井さんの分岐点は、進路選択でネットワーク分野を選んだことでした。学生時代に研究室でセキュリティを学びつつ、学外イベントでネットワーク機器に触れ、「これが自分に合っている」と直感しました。その後、新卒でJストリームへ入社し、ネットワークエンジニアとしてのキャリアがスタートします。その中で、強く印象に残っているのは、「これは、自分が社内で一番詳しい」と言える領域が生まれた瞬間だったと語りました。現在は、ネットワークに軸足を置きながら、全社横断のCSIRT活動にも携わり、自分の持っているもの、できることをさらに広げていきたいと考えています。
「行き当たりばったりに見えるキャリアも、振り返ると無駄はなかった」(石田さん)という言葉に象徴されるように、4人の分岐点はいずれも、後から意味づけられる経験として語られていました。

判断軸は違っても、「納得感」は共通
後半はパネルディスカッションでは、キャリア選択の判断軸についても披露されました。
・「好きなことで生きていく」(今井さん)
・「楽しんでできることを選ぶ」(石田さん)
・「こだわらない」(Tomさん)
・「やりがいを大切にする」(奥田さん)
表現はそれぞれですが、共通していたのは“自分なりの納得感”を大切にしている点でした。

思い描いたキャリアと違ったから、見えた景色
パネルディスカッションでは、「思い描いていたキャリアと、どれくらい一致していますか?」という問いも投げかけられました。
30%、70%、ほぼ100% ── と回答はバラバラでした。
しかし一致度にかかわらず、「想定外だったが結果として良かった経験」は全員が持っていました。想定していなかった分野との出会い、予期せぬ業務経験、裏方に徹するつもりが前に立場になったこと。
その時点では、偶然や、時には違和感だとすら思っていたものが、後に自分ならでのキャリアの核になる。そんな可能性が示されました。
迷った人へのメッセージ
イベントの最後には、登壇者からキャリアに迷う若手へのメッセージが届けられました。
・「突拍子もなくていいので、夢を持ってほしい」(奥田さん)
・「迷ったら、目の前のことに没頭してみる。続けた先で、専門性と面白さが生まれる」(Tomさん)
・「選択すること。選んだ責任は、うまくいくかどうかではなく、その選択と向き合うことで果たす」(石田さん)
・「どんな小さな分野でもいい。一番になれるものを作ってほしい」(今井さん)
いずれも「正解」を示す答えではなく、自分ならではのキャリアを考える足掛かりとなるメッセージでした。
考え続けられる場所の大切さ
イベントは、あっという間に予定していた1時間を迎えました。
参加者からは、「『キャリアに正解はない』と頭では分かっていても、他の人の話を聞くことで視野が広がった」「自分の現在地を見つめ直すきっかけになった」といった声が多く寄せられました。
大きな決断や明確な目標がなくても、少し考えてみる、興味のあることに手を伸ばしてみる、今の自分のスタイルを信じてみる——そんな小さな意識の変化も、キャリアの大切な一部なんだなと再認識する時間になりました。
今回語られた先輩たちのリアルな歩みが、誰かの次の一歩に続くかもしれません。今後も、立場やロールを越えて気軽に話せる場を続けていければと思いました。




