イノベータを目指す学生を対象にした国内最大級の産官学連携ハックイベント「JPHACKS2023(ジャパンハックス2023)」。Hack Day2日目となる2023年10月29日には、全国4か所(北海道、東京、名古屋、神戸)とオンラインにわかれての成果発表会が行われました。
東京会場へ参加したJストリームメンバー2名に当日の様子を聞きました。
(インタビュー・文 : Voice編集長・久保田 直美)
【JPHACKSとは】
全国の学生を対象に2014年から継続開催されている日本最大の産官学連携ハックイベント。今年で開催10周年を迎える同イベントは、未来を開拓するイノベータを目指すすべての学生に対する甲子園のような存在を目指し、過去参加者の累計は2,000名を超える。
事前学習期間の『Learning Sprint(ラーニングスプリント)』、日本全国4つのオフライン会場とオンライン会場の7会場で開催される『Hack Day(ハックデイ)』、オンラインで審査やフィードバックを受け取れる『Kaizen Sprint(カイゼンスプリント)』、そして最終結果を披露する『Award Day(アワードデイ)』で構成される。
熱気と緊張あふれる会場
―― まずは、JPHACKS Hack Dayに参加しての感想を一言お願いします!
参加されている学生さんのハッカソンへの熱い思いを感じました。
徹夜で作業をしていたり、泊りがけで作業進めている方もいて、なんとしても完成させるぞという気持ちが伝わってきました。
参加者の熱意と緊張感が伝わってきて、まさに青春!でしたね。
私は昨年Award Dayに参加させていただきましたが、Hack Dayには初参加でした。参加者の皆さんは、Hack Dayの2日間を開発だけに集中して取り組みます。 私たちスポンサーはなるべく邪魔にならないように、コードフリーズの少し前に会場入りしましたが、最後までテストや調整をしている学生さんばかりで、最後まで手を抜かずに全力で取り組む姿勢に感動しました。
―― Hack Day2日目の成果発表会には、スポンサー企業も参加可能でしたね。会場はどんな様子でしたか?
成果発表会開始予定の15:00に備え、14:30に東京会場の東大工学部へ向かいました。キャンパスの広さにびっくりしながら、私もK.S.さんも迷いながら到着したため、二人で会えた時は感動の再会のような気持ちでした(笑) 。
受付時にお揃いのTシャツもいただいて、審査員もみんな着替えて準備は万端です。 そしてスポンサー向けの説明を受けた後は、少しだけ開発している様子を見学させていただきました。
事前にSlackを通じて案内されていた参加チーム情報やGitHubについて再度確認したのち、成果発表会場へ移動しました。
東京会場のチームでは、スケジュールの調整、進捗管理ツールや位置情報付きでの画像共有が多かった印象です。 またAIを用いた作品も見られました。
コードフリーズしたら、すぐに各チームの発表が始まります。学生さんはやり遂げた達成感や、完成させたといった安堵感がありました。 また審査員席はプレゼンに対する期待感であふれてました。
2日間で納得のいくものに仕上げるためには、睡眠時間を削るという選択の方もいたようです。そんななかでも、開発中は笑顔が見られ、ピリピリしているというよりも 全員静かな闘志を燃やしている、そんな熱い空間でしたね。
各会場での成果発表と贈賞:Hack Day Jストリーム賞は「スマートホームメイド」
―― 1チームあたりの発表時間は、90秒だったそうですね。
持ち時間の90秒を過ぎると、会場から拍手が起き、発表終了となります。かなりタイトな発表ですが、 皆さんデモ動画を取り入れたり、短い時間のなかでも周囲を笑わせようと工夫する姿勢が素晴らしかったです。
東京会場の発表は、大きな会議室で審査員やスポンサーが目の前に座っている壇上で行われました。
―― 当日は企業賞の授与もありましたね。Jストリームは、高輪バッドゲートウェイ前ハードウェア幼稚園さんの「スマートホームメイド」にお贈りしました。
「スマートホームメイド」という作品は、スマートホームの住人が、アバターを持つAIアシスタントとの対話を通して簡単に家電制御を行うことができるシステムです。
家電制御という、冷静で形式的なプロセスや操作が求められる領域において、動画や音声が持つ特長を活かし、人間の感情に寄り添うシステムという点で目を引きました。
―― Jストリーム賞の選考基準は、どのようなものでしたか?
Jストリームは動画配信技術を軸にした企業のDX推進のためのプロダクト・サービスを提供しています。そのため、JPHACKSでのJストリーム賞では、以下4つの選考基準を設けていました。
1)Jストリームの事業領域である動画や音声に関連したものであること
2)ユーザー視点で課題解決が考えられていること
3)スケール感のある開発プロダクトであること
4)Jストリームのコーポレートメッセージ「もっと素敵な伝え方を。」が感じられるもの
―― 「スマートホームメイド」の贈賞理由について、もう少し詳しく聞かせてください。
選考基準の1)については、前述の通り動画や音声の特長を活かしたものでした。
2)に関連しては、なんといっても企画の面白さを評価しました。 開発背景にはスマートホーム製品の音声操作の悪さや、1人しかいない家で一方的に人間側が語りかけるシステムに寂しさを感じるということがありました。これは、開発メンバーのお一人が、実際にスマートホーム製品を多用した家で一人暮らしする実体験に基づくものだそうです。
自分たちのお悩みを、世の中の課題として捉えなおす着眼点に「なるほどな」と思いましたし、企画の説得力がありました。
3)に関連する点では、技術面での 課題解決において、それぞれ音声操作の融通の悪さをChatGPTによって解決し、寂しさをMeta Quest3のMR技術(生成されたAIアシスタントとの対話)を用いて解決するなどの選定です。
MR技術によるAIアシスタントへの操作でスマートホームの使用を効率化に向け AIからの能動的な声かけ・提案があり、とても関心を持ちました。 Meta Quest3の部屋認識技術を用いて、家電やアクションを識別する仮想的なマーカーを部屋に設置できるようにしたりする工夫もされていました。
上記のような理由から、4)にあるJストリームのコーポレートメッセージ「もっと素敵な伝え方を。」と照らしました。 AIからの能動的な声かけ・提案がある点において、今後AIを通じて情報の伝達やAIからの提案・情報の提示のなど、新しい形のコミュニケーションを行えるのではないかと期待しました。
「スマートホームメイド」は、11月2日に発表された決勝となるAward Dayへの進出も決まりましたね。
「JPHACKS 2023 Award Day」進出チーム 15組を発表 – JPHACKS
高輪バッドゲートウェイ前ハードウェア幼稚園さん、決勝進出された皆さん、おめでとうございます!
―― 実は、「スマートホームメイド」を作られた高輪バッドゲートウェイ前ハードウェア幼稚園の皆さんから受賞コメントをいただきました!
なんと!
【高輪バッドゲートウェイ前ハードウェア幼稚園の皆さんからの受賞コメント】
本作品「スマートホームメイド」は、動画だけだと魅力が伝わりづらく、実際にゴーグルを装着して体験することでその価値を体感できる作品だと考えています。
90 秒というわずかなピッチの中で、Jストリーム様は本作品の MR 表現について評価してくださいました。本作品の魅力が審査員の方に伝わった安堵と喜びをチームで分かち合いました。
幸運なことに、Award Day への切符も手に入れることができました。この 2 週間の Kaizen Sprint で、MR + LLM による「スマートホームのパラダイムシフト」を皆さんにご体験いただけるように尽力していきますので、今後とも応援のほど、どうぞよろしくお願いいたします!
とても嬉しいですね~!当日は、ゴーグルを装着して体験もさせてもらいました。
―― 参加学生さんとのコミュニケーションは十分とれましたでしょうか。
もっと多くの学生さんと話せたらなと思いました。成果発表関連では3チームくらいの方とチームのことや開発背景、関心のある技術などに話しました。懇親会は1時間でしたので、10名くらいの方とお話ししました。
Jストリームは、自社で配信ネットワークを構築していて、CDNサービスも手掛けています。私もCDNの開発・運用に携わっていますので、懇親会では、自社ネットワークやCDNのお話などもさせていただきました。ネットワークに興味のある学生さんもいらっしゃり、膨大なトラフィックを捌く業務にはやりがいを感じるというコメントもうかがいました。
企業賞の数は限られていることもあり、残念ながら受賞を逃すチームもありましたが、企業の担当者へフィードバックをください!と熱心なチームが多かったですね。Jストリームにも「エンジニアから見て、自身の作品は何が足りなかった?」という質問もいただき、K.S.さんが現役エンジニアとしての考えや感じたことを投げかけていました。
―― エンジニアリングをきっかけに出会いが拡がっているのですね。
昨年のJPHACKSに参加していたチームの方から「Jストリームさん、知っていますよ!」とか「Jストリームさん今年も参加しているんですね」という声をかけてもらうこともありました。
今回、東京会場の参加者の方へのノベルティとして、Jストリームオリジナルハイチュウをご用意したのですが、ありがたいことになんと売り切れまして。「なんだろう?」と手に取られた学生さんが、開けたらハイチュウで嬉しかった、QRもアクセスしましたよ、なんていうコメントもいただきました。
BtoB企業として裏方に徹することが多いため、なかなか知られていないのが悩みなので、覚えていてくれているんだ、喜んでもらえたんだという嬉しい報告もしておきます(笑)。
応援メッセージ:JPHACKSに参加したご自身の行動力を誉めてあげてほしい
―― 私たちスポンサー企業側も多くの刺激を得たようですね。
そうですね。学生のうちから様々な環境での情報、技術のアウトプットを行っている姿に自身も見習いたいと感じました。
11月19日に開催される今年の最終日Award Dayがさらに楽しみになりました。 ほかの開催地ではどんなチームが勝ちあがってくるのか、 残りの期間でどんな改善をしてくるチームがいるのか ワクワクしながら待ちたいと思います。
徹夜明けのチームも多く、疲れが見えている方もいらっしゃいました。体力を回復されていることを祈ります。
―― JPHACKS参加学生さんへ応援メッセージをお願いします!
AwardDayへ進むチームも、残念ながら進めなかったチームもあるかと思います。私たちには、成果発表会を通じて、皆さん等しく頑張っていたことが伝わりました。
最後の総評にもありました通り、この経験は絶対に就活や社会人として働く中で 何度も皆さんを助けると思います。 どんな結果であっても、まずはこのイベントに参加したご自身の行動力を誉めてあげてほしいです!
Award Day、もしくは次回のJPHACKSでお会いできるのを楽しみにしております。
これからもいろいろ経験し、頑張ってください!
―― 11月19日のAward Dayが楽しみですね。参加者の皆さん、くれぐれもお体に気を付けて、引き続き作品作りを応援しています。当日の様子は、またVoiceでもご紹介できればと思います!
【関連情報】
・「スマートホームメイド」GitHub https://github.com/jphacks/TK_2313
・JPHACKS2023 https://jphacks.com/
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