石松俊雄 代表取締役
1986年、株式会社リクルートに入社。求人情報誌や旅行情報誌の営業などを担当。1999年に同社を退社後Jストリームに入社、営業部長を担当。2000年7月、取締役営業部長に就任。2003年4月、取締役ストリーミング・プロデュース部担当、メディア開発部担当、コミュニケーション開発部担当、パートナー開発部担当、営業統括室長に就任。2006年2月、取締役副社長 副社長執行役員、リッチコンテンツ・プロデュース部担当、営業統括室長、制作統括室担当。2008年6月、代表取締役副社長。2014年6月、代表取締役社長に就任。
「私達のビジョンにゴールはない」最先端技術で企業の課題を解決し続けていく
「最先端の動画ソリューション提供会社であり続け、あらゆる動画ニーズに応えられるエコシステムを創造することにより、事業の継続的成長を実現する」
これが私達の経営ビジョンです。大事なのは最先端の技術であること。私達は1997年に日本初の動画配信サービス会社として誕生し、一貫して動画を軸にサービスを提供し続けてきました。国内のデータセンターに自前の動画配信環境を作り、最初はライブ配信のためのネットワークインフラを提供していました。その後オンデマンド配信、動画に付随する企画・制作や運用など顧客ニーズに応じて事業領域を拡大させてきました。
Jストリームでは、動画フォーマットや配信プロトコルなど技術変化の激しい動画領域において、常に社会のデファクトスタンダードを取り入れてきました。技術が新しすぎてもいけません。多くの人が使えない技術では意味がありませんから。これからも世の中の動きに合わせて新しい技術を積極的に取り入れていきます。
そうですね。そして、もう一つ重要なのは動画の「ソリューション」を提供すること。私達にとって動画配信は目的ではありません。あくまで目的は動画配信によって企業コミュニケーション上の課題を解決することで、動画はその手段でしかないのです。
動画と言われると真っ先に思い浮かぶのはエンターテインメント領域だと思いますが、実は企業活動にも、動画を活用できるシーンがたくさんあります。社外に対しては株主総会をはじめ、商品の発表会や採用広報、社内なら勉強会やマニュアルといったように、工夫次第で動画の可能性は無限大と言えるでしょう。
新型コロナウイルス感染症対策として動画を活用する企業が増えたことで、私達もビジョンに向けて一歩前進しました。多くの企業が動画の便利さに気づいた今、私達が提供する価値として「動画が使える」だけではいけません。
いかにシーンに合わせて、使いやすいソリューションを提供するか。例えば株主総会と社内教育では、動画サービスに必要な機能が違います。また、時代によっても求められることは変わっていくため、シーンと時代に合った機能が求められます。そのため、私達のサービスに完成はありません。常に顧客に寄り添い、100年続く会社を目指していきます。
幅広いニーズに応えるために、戦略の方向性としては大きく二つあります。一つは、マーケットインとプロダクトアウトの両方の視点を持つということ。もう一つは外部サービスと柔軟に連携していくということです。
顧客のニーズには顕在化しているものもあれば、顧客自身も気が付いていない潜在的なものもあります。マーケットインとプロダクトアウトはどちらが良いというものではなくて、マーケットの動きを見ながらアプローチを変えていく必要があります。
顕在的ニーズに対してはスピードも重視しながらマーケットインで、潜在的なニーズに対しては市場をけん引する意味を含め、市場調査や研究開発も十分行いプロダクトアウトで進めています。
また、動画の利用シーンが広がるなか、全てのニーズに私達だけで応えることはできないでしょう。だからこそ他社のサービスと連携していく必要があります。「J-Stream Equipmedia(イクイップメディア)」というOVP(Online Video Platform)では、各分野に精通したサービスとAPIを介して連携することで幅広いニーズに応えています。
チャレンジを促すために作られた「JストリームWAY」
Jストリームでは、「もっと素敵な伝え方を。」のスローガンをもとに、他社との違いを生む当社らしさを「JストリームWAY」として明文化しています。そのなかで「CSO」という行動指針を掲げています。 「Customer=お客様の思いを実現するために、Self=動画のプロフェッショナルとして、Organization=個人の力だけでなく組織で課題を解決する」という意味です。
行動指針はただ作っただけでは浸透しません。組織風土として根付かせるための研修も行っています。講師は社員の中から選ばれた「エヴァンジェリスト」。初代は、全社の声をもとにJストリームWAY策定から携わり、今ではエヴァンジェリストも2代目となりました。
Jストリーム社員が共通で持っている「自分たちらしさ」を、価値ある判断軸として全社へ示す。WAYをもとに、部署が違う者同士でも同じモノサシで判断できるようになりました。
大きな理由の一つは「チャレンジする文化」の醸成です。Jストリームはもともとチャレンジを繰り返してきた会社です。しかし、年数を重ね創業当時を知る社員の割合も減り、組織拡大により部門間コミュニケーションも難しくなりました。加えて、上場企業としては、内部統制などきちんとした手続きを踏まえる必要もある。そのような背景もあり、社員のなかにチャレンジを抑制する心理が働いてしまう空気を感じていました。
私が社長に就任してからも、繰り返しチャレンジの必要性を説いてきたものの、なかなか組織の雰囲気は変わりませんでした。そこで創立20周年を機にJストリームがこれまで大事にしてきた考え方をまとめたのです。
Jストリームはこれまでも顧客のニーズに応えるために、いくつものチャレンジをしてきました。それを今の社員にもDNAとして残したかったのです。
例えば象徴的なのが、創業間もない頃の話です。当時、代表的だった動画プレイヤーは、MicrosoftのWindows Media PlayerやAppleのQuickTime Player、そしてRealPlayer。 このRealPlayerを提供するリアルネットワークスはわれわれの株主でしたが、株主を説得してどんなプレイヤーでも使える環境を提供するようにしました。
動画配信インフラ専業から、Webや映像の制作事業を社内に整備したり、ここ10年ほどではOVPやCDN(Content Delivery Network)のプラットフォーム事業を強化し開発の内製化に舵を切りました。顧客ニーズに応えるために、体制や経営戦略を大きく変えることも珍しくありません。
開発の内製化に伴いモダン開発へと移行させ、 開発基盤をマイクロサービスアーキテクチャで構築したこともチャレンジと捉えています。マイクロサービスは素晴らしい概念なのですが、多くの企業が着手したくてもできず、途中で頓挫してきました。
当社での始まりは、現アーキテクトの大川との話のなかで、マイクロサービスの必要性と、同時に、組織に根付かせる難しさを聞いたことにありました。すでにあるレガシーなシステムもあり、そのメンテナンスもあるし、サービスを止めるわけにもいかない。私自身も海外動向などを見るなかでマイクロサービスに強い関心を抱いていましたが、調べていけばいくほど非常に難しいことだと思っていました。
ただ、動画領域の技術変化というのはとても早い。加えて、顧客ニーズのスピードを考えると多様な用途に対して細かな機能追加を一層迅速に提供できるようにする必要がある。大川の話はそのための提案でした。ですから、大川にアーキテクトを任せ、経営として全面的にバックアップする判断をしました。今や開発環境だけでなく、組織、人事など多岐にわたり開発力強化のための組織づくりを進めています。
リモートワークの導入により、日本全国が仕事場に
「最新情報をインプットすること」「トライ&エラーを繰り返すこと」の2つです。動画は技術の移り変わりの激しい領域。社内にも新しい情報はありますが、社外にある情報とは比べ物になりません。そのため、社外とのコミュニケーションを大切にしながらインプットしてほしいですね。
とはいえ、新しい技術を学んだからと言ってすぐに社内で使えるわけではありません。その技術を使うことで顧客ニーズをどう満たすのか理解してもらう必要があります。ロジカルに必要性を伝えられれば予算も人員もつくので、プレゼンテーション力は磨いてほしいですね。
プレゼンテーション力も身につけてほしいのと同時に、現状苦手だからといって失敗を恐れないでください。トライ&エラーを繰り返すことでプレゼンテーションは上達しますし、失敗から生み出されるもありますから。
トライ&エラーができるように、査定は半年ごとです。失敗して査定に響くことはあっても半年後にはリセットされるので、失敗を恐れずに何度もチャレンジしてください。
そうですね。Jストリームでは、エンジニアを対象とした新人事制度も開始しました。働きやすく、インプットしやすいような環境を整えているので、向上心の強い方、腕に覚えのある方はぜひ一緒に働きたいですね。活躍できる環境は整えているので、動画を使ってやりたいことがある方はぜひ一緒に働きましょう。
※本記事は、Wantedlyで公開中のJストリームインタビュー記事の転載です。