Streaming Tech MeetUpでつながる動画エンジニアの想い

Streaming Tech MeetUpでつながる動画エンジニアの想い

この記事を書いた人

高見澤 信弘

エンジニアリング推進室 アーキテクト

Jストリームに新卒で入社後、ネットワークエンジニアとしてCDN基盤や大規模配信ネットワークの設計を中心に、見逃し配信システムや国際スポーツイベントの配信設計を担当。現在はCDNプロダクト企画や全社ネットワーク設計を担う。IPoE協議会 IPv6地理情報共有推進委員会 幹事、海賊版対策実務者意見交換会 海賊版対策技術検証チーム(WG)メンバーほか、インターネットトラヒック流通効率化検討協議会、JANOG、JAIPA登壇など幅広く活動

Streming Tech MeetUp とは?

3/6(金) 19:00から、動画配信に関わるエンジニアが集まり、技術ネタで盛り上がろうというイベントを開催しました。今回が初めての開催でしたが、株式会社AbemaTV株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ)株式会社MIXI (※五十音順 )の3社様が声がけに応じていただき、弊社Jストリームも加わり4社から6名のエンジニアがLightning Talk(LT)で語る会となりました。

 

今回参加いただいた企業様と関係の深い、業界団体の一般社団法人IPoE協議会一般社団法人日本インターネットプロバイダー協会 からも後援をいただき、関係する皆様にも応援いただけたと思っています。

きっかけ:対話から広がった、業界エンジニアの共感

イベントをやろうと思ったきっかけは、動画に関わるエンジニアの方々と
「JANOGや地域NOGなどのネットワーク関連のイベントは盛況だけど、動画技術に関するイベントもやりたくないですか?」
と話したことでした。
 
ふと振り返ると、コロナ禍の前には動画に関するイベントもいくつかありましたが、一度途切れてしまうと、再開はなかなか大変だという印象がありました。だからこそ、できるのであれば、無理なく続けられるイベントにしたいと考えていました。
 
周囲の皆さんからは、
「ぜひ行きますよ!というか、喋りますよ!」
といった前向きな反応が多く、場は多いに盛り上がりました。

 

最初は「できたらいいな」と思っていたイベントでしたが、

「動画技術に関わるエンジニアがざっくばらんに飲みながら話せたらいいよね」

「せっかくなら濃い話がしたいよね」

などと考えているうちに、
「まずは1回やってみよう、やってみないとわからない」という気持ちになりました。

 

ある種の挑戦に近い気持ちで関係性の近い3社様にお声がけしました。すると、快諾をいただき、何よりも嬉しかったというのが正直な想いです。

冒頭で、初開催への想いとともにご挨拶させていただきました

第一部(LT会):技術セッションの一幕

当日は、Jストリームの会議室で行いましたが、40名を超える方々に参加いただき、「ちょっと会場が狭かったかな。。。」と思うような盛況ぶりでした。(次回はもう少し大きな会場を用意しないとですね)


LT会の中身としては、コンテンツ保護に関する技術的な情報やコンテンツ制作や監視運用に対してのAI導入、広告挿入やプロトコルに関する話題など、多方面にわたる話題&技術的な工夫のお話も多くありました

 

LT会とは思えない情報量で、あっという間に予定していた1時間が過ぎてしまいました。LT会の中身は非公開なので詳しくはお話できないのが残念です。。。

 

Jストリームからは、ライブ現場での映像機器の配線や設定、ネットワーク接続、ライブエンコーディングなどの業務を行っているライブエンジニアが登壇し、PyCon JP 2025のストリーミングスポンサーとしての2日間のライブ配信について話してくれました。

JストリームLT:「マルチ会場ライブ配信の一拠点集中オペレーション」の様子

現地は部屋数が多く、並行して多くのチャンネルのライブを行う必要があったため、Video over IPを使って1か所に映像を集め、集中的なオペレーションを行うことで省力化とミス軽減が図れたという内容です。

 

発表の中で「いつもは配信側ですが、今日は逆に配信される側で出演者の気持ちがわかります」というライブエンジニアならではのコメントに会場も笑い包まれました。

第二部:懇親会で深まった技術談義

LT会の後は懇親会が付き物です。

LTの内容を深堀りした議論があったり、若手同士で日常業務について話したり、いつも話せない内緒のお話も。

 

業態やビジネスの中心が異なる企業同士でしたので、悩むポイントが違うわけで、監視やコンテンツ保護に関する話題を中心に、異なる立場から活発な議論が行われていました。


また、動画エンジニアが集えば必ず始まるコーデック話。現在の主力はH.264ですが、次どうするか、新しいコーデックの普及状況やエンコードの工夫、はたまたOn2VP6など古いコーデックの話など、コーデックにまつわる話は尽きないですね(笑)


「次はプレイヤー寄りの話がしたいね」とか「コーデックの深堀りもしたい」など、次に関するネタの相談もでき、懇親会に至るまで、非常に実りのある会となりました。

 

※ちょっと脱線しますが、私が発起人の会ですので、懇親会のお酒は重要です。

 

芝公園には東京23区で唯一の酒蔵、東京港醸造さんがあります。23区内で日本酒を作っている酒蔵があるんですよ。お水は水道水。ちょっと驚かれる方もいらっしゃると思いますが、そこのお酒を振る舞いました。懇親会のお酒を充実させるのがネットワーク界隈のイベントの常識になっているかも?!

 

東京港醸造
https://tokyoportbrewery.wkmty.com/

いざやってみて直面した悩みどころ

初回ということで、企画を練っていく中で話していただくテーマ選定が難しかったですね。


動画は映像技術、ネットワークなどの物理層に近いところから、エンコード・デコード・配信プロトコルなどの動画専門領域、プレイヤーやUI/UXなどのよりレイヤーの高い(人に接する部分)まで、動画配信システムを作って運用するには幅広い技術領域にまたがった知識が必要です。その中での何をテーマにするか?

 

動画らしく、いろんなテーマを話してもらうのも面白いのでは?特色を出すならネットワーク分野やコーデックなどの分野を絞ったほうがいいのでは?などの議論もありました。

 

しかし、まずは初回ということで特徴のある各社様のサービス紹介をベースに工夫されていることや最近取り組んでいること、というテーマ設定で依頼することにしました。

 

もう1つ悩んだのは、イベントの公開範囲です。多くの方に見ていただくには、Webで公開する方が良いのですが、非公開なので突っ込んがお話もできるという側面もあり悩みました。

 

最終的には、人のつながりで1ホップまで、面識がある方々の集まりにしましょう、ということにしました。より深い議論ができる場にしようという思いもありましたが、その方がちょっと気楽かなという側面もあります。

若手エンジニアが受け取った想いと、その先で得た経験

そんな中、イベントへの登壇依頼の文面をJストリームの若手が以下のように作ってくれました。未来のある若手らしく未来志向で。そして、私はいつも思っている「業界内の横のつながりの大切さ」がよく出ている良い文章だなと思い、嬉しくなりました。

 

趣旨:

本イベントは、動画配信業界の認知度向上と業界内の活性化を目的とした技術者向け交流イベントです。技術的な取組みや課題、未来への展望を共有することで、参加者同士の知見深化とネットワーク形成を促進することで、業界全体の持続的な成長への寄与することを目指しています。

 

ここで、今回の企画立案から当日運営まで中心的に動いたJストリームエンジニア2名のコメントを紹介します。イベントを通し、社外のエンジニアと話し、得られた刺激・学びや主催者としての経験からの苦労などを聞きました。

今井 宏謙(ネットワークエンジニア/チーフテックリード)

 

私は普段JANOGなどネットワークの分野でのエンジニア交流が多いのですが、今回は動画分野でのエンジニア交流をたくさんさせていただきました。自分の専門分野であるネットワークだけでなく、会社の軸となる動画分野のエンジニアの方々との交流を通して、自分の仕事の幅も広がったかなと思います。

 

Jストリームでネットワークエンジニアとして仕事をするうえで「動画」というのは自分たちの作るインフラの上で動くサービスであり、Jストリームの動画の形しか知リませんでした。

 

今回、いろんな会社の配信の仕組みやそれに関わる技術を知ることができたのはとても新鮮で、ネットワークエンジニアとしても、動画を主力とする会社の一社員としても視野が広がったなと感じます。

 

主催側で最も大変だったのは、スケジュール調整などの細かい調整です。社内のイベントだと「なんとなく」や「いい感じで」とできる部分も、他社様としっかり調整し、失礼のないように、また当日滞りなく進行ができるように細かいところまで考えるのは普段と異なる大変さがありました。

 

そんな中ではありましたが、社内/社外共に皆様非常に前向きにご協力してくださり、お陰様で無事Streaming Tech MeetUpを開催・成功させることができました。

 

改めてご協力いただいた皆様、本当にありがとうございました。

 

 

阿加井 翔(SREエンジニア)

 

同業界のエンジニアの方と交流を持てたのがとてもよかったです。同じ動画を扱っていてもtoBかtoCかでやっていること、経験が変わり、話していてとても面白かったです。

 

今回は、社会人歴3年以下の若い世代の参加も多く、中には登壇もしてくださった方もいました。同世代エンジニアと話すことで、動画配信技術に取り組んでいる仲間を知ることができとても刺激になりました。

 

イベント主催って準備期間から考えることが多く、多くの人とコミュニケーションが必要となり、大変なことも多いですが、一度に様々な経験をさせていただき、総じて楽しかったです。

 

中でも「他社様と一緒に創るイベント」という経験がとてもよかったです。社内のみだと、ある意味調整しやすく、いざとなれば力技で進めることも可能ですが、他社様にご協力いただく形だと独断で進めるのではなく、協力企業様と丁寧にコミュニケーションをとりながら調整していく必要があります。

 

スケジュール通りに進めることが求められる場で、社内の先輩方や協力会社の方々が共に作ってくださったことに感謝です。ありがとうございました。

イベント当日の様子。今井 宏謙(写真右)、阿迦井 翔(写真左)

初開催を終えて感じた手応えと、広がったつながり

初めてのStreaming Tech MeetUpが終わって、やり切った感と満足感があります。運営にあたり、至らない点もありましたが、臨機応変に対応いただいた3社様には感謝しかありません。懇親会の際も「ぜひ2回目もやりましょう」「2回目はxxx社さんにもお声がけしましょう」という感じで、積極的なコメントをいただけて、とても嬉しかったです。

 

動画エンジニアが集まったことで、より深い議論ができたことが一番よかったと思います。みなさんの工夫を聞くことで、「自社での課題解決に繋げる」という真面目な側面もありますが、技術的な議論は純粋に楽しい!技術的な興味を満たす場としてもよかったなぁーと思いました。そして、コーデックと配信プロトコルの話は純粋に楽しく終わりがないですね(笑)

 

さて今回お声がけした3社様は、JANOG/QUNOGでのコラボレーションやCONECTでの関係性などがありますが、AbemaTVさんやMIXIさんのように、コンテンツ制作からマネタイズまで自社で構築されてB to Cで活躍されている会社とIIJさんやJストリームのように動画プラットフォームやCDNを構築して他社様に提供しているB to B企業を一緒に集まっていただいたという点です。


いつもは顧客とサービス提供者の関係になりますが、動画を扱う企業としては同じ立ち位置で話して議論できる場ができました。今回、Jストリームがハブとなり各社さんをつなげるような働きができて、とてもよかったと思います。懇親会では、いつもはつながらないような方々が、お話をされていたのが印象的でした。

 

初回が終わったばかりなので、2回目を考える余裕がないのですが、初回参加いただいた4社の関係を活かして、次回へと発展させていければと思います。最後にご協力いただきました3社様、後援いただいた2団体の皆様に御礼いたします。

 

 

 

【関連情報】

 

IIJ様の配信【公式】noteで、本イベントのレポートが公開されています!ぜひご覧ください。

【イベントレポート】若手エンジニアが「動画配信の最前線」でLTに挑戦!ミートアップ参加記 ━━ Streaming MeetUp #1|映像配信の話@IIJ