こんにちは、Voice編集長の久保田です。
11月18日~22日に開催されたZabbix Conference Japan 2024では、Jストリーム・ネットワークエンジニアの小山 拓海がDay 4(11月21日)に登壇しました。
当日、小山は、6月にリリースされたばかりのZabbix 7.0について、自社での構築事例紹介を行いました。業界的に情報が少ない状況に対して、技術的な事例共有で業界貢献したいという登壇者の想いでの登壇でした。
登壇終了直後の小山に、今回伝えたかった技術的ポイント、登壇までの経緯や想い、そして、あわせて、キャリアや組織カルチャーなどについても聞きました。
↓ 当日の登壇資料はこちらです ↓
DR観点に基づき、データセンタ間冗長での構築を実現
―― 小山さん、まずは、登壇お疲れさまでした! 登壇を終えて、一言お願いします。
緊張しなかったのか、登壇もスムーズに終わりました。 そのため、登壇した実感があまりないです。 しかし、撮影していただいた写真を見返すと、自分が本当に登壇していたと改めて感じるようになりました。
―― さて、本題に入る前に、まずは読者の皆さんへ自己紹介をお願いしたく。普段は、どのような業務を担当しているのですか?
主にサーバやネットワークの設計や構築を担当しています。 サーバについて、別部署からの依頼があると、要件定義から設計、構築までを担当します。
ネットワークに関しても同様で、ネットワークスイッチの導入から構築、通信の設計や設定の反映などを行います。
最近では、オンプレミスでK8s(Kubernetes)の構築も担当しています。
―― 今回の登壇されたZabbix Conference Japanとは、どのようなイベントですか?
ネットワーク監視ソリューションを提供するZabbix社が、主催するイベントです。開発ロードマップを共有したり、ユーザー事例、関連ソリューションなどの最新情報が発表される場です。
会期は、Webセミナー3日間と会場+オンライン2日間でZabbix Weekと称されます。2024年は、11月18日~22日に開催されました。
―― 小山さんの講演趣旨について、聞かせてください。
今回の講演は、「オンプレ環境でのZabbix7.0:構築内容と気づきの共有」というタイトルで、オンプレ環境でZabbix7.0を構築事例紹介を行いました。
Jストリームは、オンプレミスでネットワーク構築を行い、企業向けにサービス提供を行っています。多数の視聴者に映像や音声を配信したり、大量のアクセスにも耐えうるCDN(Conetent Delivery Network)により、安定した配信を実現しています。
そのため、利用企業様の事業継続マネジメントを踏まえたネットワーク構築は、重要な責務のひとつです。
Zabbix7.0での構築に際しては、DR(Disaster Recovery / 災害復旧)観点よりデータセンタ間冗長(L3冗長)構成を実現しました。
このようなケースは前例がないものでした。ですので、当日は、「設計」「構築」「運用」について振返り、当社での気づきを共有しました。自社での取組みをお話しすることで、少しでも業界貢献できればという想いがありました。
―― Zabbix 7.0で構築した背景をお聞かせください。
以前は、同じデータセンタ内での冗長化構成を採用していたのですが、ファイアウォールのメンテナンスや回線のトラブルにより、Zabbixの監視ができない事態が発生していました。
さらに、同じデータセンター内であるにも関わらず、フェイルオーバーに時間がかかり、タイムアウトによる切り替わりが成功しなかったという課題も発生しました。
講演では、4つの問題点としてご説明しました。ぜひ公開資料もご覧ください。
―― 構築における一番のこだわりを教えてください。
データセンタ間冗長を実現したところです。 当社では、データセンタが離れていた場所にZabbixを立てましたが、データの同期はできているため、差分を発生させない仕組みを構築しました。
他の企業様のユースケースを見るとスタンドアロンで構築されており、運用でデータの整合性をカバーされているように見受けられました。
―― 構築で最も苦労した点は?
DBレプリケーションの検証で、レプリケーションがうまく張れず、2か月ほど検証に苦戦していました。 意図したDBの切り替わりができなく、途中であきらめそうになりました。
―― その際には、どのように乗り超えたのでしょうか。
DB自体をMYSQLからPostgreSQLに構成変更することで、上記の問題を解決できました。
下記が最終構成です。最終的には、構築検討時に整理した4つの問題点を、すべて解決させることができました。
登壇を通じて拡がる人脈と可能性
―― 技術面以外のお話も、うかがいたいと思います。Zabbix Conference Janpanは、2020年の登壇に続き2回目ですよね。今回の登壇経緯を教えてください。
今夏に開催されたJANOG 54 Meeting in NARAでもZabbixをテーマにした内容で登壇を行いました。 JANOG54の企業ブースにZabbix社の方がいらっしゃり、その場でお声がけいただき、Zabbix Conference Japan 2024への登壇も決まりました。
1回目の登壇の際は自らZabbix社に応募したのがきっかけでした。
―― 登壇立候補について、会社へ話した際の反応はいかがでしたか?
最初は、上長にやんわりと「参加します」くらいにしか登壇意思を伝えていませんでしたし、上長としては「本当に出るの?」みたいな印象だったと思います。会社として断られたら、今年の登壇は諦めようと考えていました。
しかし、上長の快諾も得られ、また登壇資料作成で他の社員も協力してくれました。イベント当日は、会場に足を運んでくれた社員もいました。
―― 通常業務との両立はうまくいきましたか?
うまくいったと思います。
―― 通常業務との両立のために、どのような工夫をしましたか?
資料作りは始業前や終業後、休日に作成することも多かったです。
登壇に向けての練習も同様に行いました。
―― 登壇にかける熱い想いが印象的でした。その想いの源泉は、何でしょうか?
要件定義や基本設計がされていないシステムが数多く存在をし、引き継ごうにも引き継げない状況がありました。 自分も運用を引き継げないですし、後から入った方も情報がない中で運用は難しいと考えました。
これらを打破するために、設計からきれいに行って、あとから入った方にも困らないシステムの設計を心がけました。
―― 登壇準備で、苦労したことなどがあれば教えてください。
資料提出1か月前から作り始めました。 構成をどのようにするのかで結構時間を使ったと思います。
―― 登壇準備での苦労は、どのように乗り越えましたか?。
資料の構成や文章の修正時には、他の社員もコメントしてくれたり、サポートしてくれました。 登壇2日前にはリハーサルも行い、その場でアドバイスや指摘なども受けられました。
―― イベントでは、いい出会いがありましたか?
はい、ありました。
登壇後には、当日のプログラム終了後に開催された懇親会を含め、「先ほど登壇されてましたよね?」と多くの方から声をかけていただけました。Zabbix社の方からも数名にお声がけいただけました。
「あの構成での構築は、さすがに難しい」と何人かにお話しをいただけたのは、やはりうれしかったです。
その他、参加されている年の近い方とも交流することができ、仕事や技術的な話で盛り上がりました。
切磋琢磨できるチームでの成長
―― さて次に、組織カルチャーについてもうかがいます。登壇に際して、社内の反応はどうでしたか?
社内のSlackチャンネルでは、登壇風景の紹介に拍手やいいねをはじめとした多くのリアクションをいただきました。
今回の登壇に少しでも興味を持ってくれたのではないかと、嬉しかったですね。
―― 小山さんにとって、所属部門であるネットワークインフラ部を一言で表現すると?
「切磋琢磨できるチーム」です。
―― その心は?
ネットワークインフラ部は技術的探究心のある方が多いです。問題解決に取り組む際に情熱を持って向き合い、一つひとつを徹底的に突き詰めるところが部としての強みだと考えています。
―― Jストリームは、コミュニティ活動が活発ですか?
はい、具体例を挙げると、ネットワーク系では、JANOG(日本ネットワーク・オペレーターズ・グループ)、QUNOG(九州沖縄ネットワークオペレーターズグループ)、JAIPA(日本インターネットプロバイダー協会)などネットワークコミュニティに参加されている方が多い印象を受けます。
―― 小山さんが考える「コミュニティ活動を楽しむコツ」があれば教えてください。
Jストリームに入社したてのころから、漠然とどこかのコミュニティに所属したいなと考えておりました。 わからないながらも参加してみることが大切かなと思います。
―― 今後の抱負をお聞かせください。
コミュニティ活動を通じて、人と人とのつながりも大切だと実感するようになりました。 そのためZabbix Conferenceだけでなく、コミュニティ活動には積極的に参加できるようなエンジニアを目指していきます。 キャリアの面では、「他部署の相談窓口」としてフルスタックエンジニアのようなポジションに立つ人間になりたいと考えております。
―― 今回の登壇が、次のステップを引き寄せているようですね。今後も活躍を楽しみしています。
※Jストリームでは、コミュニティ活動を重視し、エンジニアの積極的な参加・取組みを奨励しています。イベント等でJストリームエンジニアを見かけたら、ぜひお気軽にお声がけください!
※在籍年数や役職を含む記載内容は、取材当時のものです。その後、状況が変化していることがあります。