GLOSSARY

動画配信 テクノロジー用語集

用語集

A

ABR(Average Bit Rate/平均ビットレート)

3種類ある動画・音声再生におけるビットレート設定(ABR/平均ビットレート、VBR/可変ビットレート、CBR/固定ビットレート)のひとつ。ABRでは、目標ビットレートを維持することを試みながら、動画の内容やシーンに応じてビットレートを変動させていく。動画の中身に合わせてビットレート可変を行う点では、VBRと同じだが、以下のような違いがある。

 

・ABR:設定するのは目標値
・VBR:設定するのは目標値ではなく最大値だけで、動画の内容に応じてビットレートが可変する

 

ABRのメリットとしては、目標ビットレートが設定されているため、エンコード後のファイルサイズがある程度予測できる点があげられる。

 

※動画配信方法においても「ABR」の略語が使用されることがあるが、まったく別の内容となるので、注意が必要。

ABR(アダプティブ・ビットレート・ストリーミング)

「Adaptive Bitrate Streaming」を略した、HTTPプロトコルを介したストリーミング配信方法のひとつ。ネットワーク状況やデバイス性能に応じて、エンドユーザー側で再生される動画配信のビットレートが変化する配信方法。

 

大まかな仕組みとしては、以下の通り。

・配信側は、事前に動画や音声のファイルを複数のビットレートや解像度でエンコードし、配信ファイル全体をいくつかにセグメント化する
・動画プレーヤー側で、エンドユーザーのネットワークやデバイス性能を判断する
・動画ファイルは、セグメント単位でエンドユーザーの環境に最適な選択・配信が行われる

 

この配信方法では、例えば、視聴途中でネットワークが混雑したり、または改善した場合に、自動的に最適なビットレートに切り替わる。そのため、再生中に中断やバッファリングが発生せずに、適切な品質でのストリーミング再生が継続される。

 

※エンコード設定方法においても「ABR」の略語が使用されることがあるが、まったく別の内容となるので、注意が必要。

B

ビットレート

動画などの配信において、1秒間あたりに送信または処理できるデータ量のこと。単位には「bps(Bit Per Second)」を使う。基本的には、ビットレートが高ければ、画質・音質は向上する。映像と音声それぞれにビットレートを割り当てる必要があるため、設定次第では高ビットレートでも「映像はきれいだが、音声がよくない(またはその逆)」という現象も起こりうる。映像へのビットレート割当てが高いほど、鮮明な滑らかになる反面、サーバ負荷増加による表示遅延の原因にもなりうる。

C

CBR(Constant Bit Rate/固定ビットレート)

3種類ある動画・音声再生におけるビットレート設定のひとつ(CBR、VBR、ABR)。CBRでは、常に一定のビットレートが転送されるため、早送りや巻き戻しが早く、ファイルサイズも算出しやすいというメリットがある。

 

設定値以上のビットレートが必要なシーンでビットレート不足になる可能性や、低ビットレートで十分なシーンに必要以上のビットレートを使用するデメリットもある。動きが少なく、色合いや輝度の変化が少ない映像に向いている。

CDN

「Content Delivery Network」の略。インターネット上でデジタルコンテンツを最適な経路で効率的に配信するためのネットワーク。「コンテンツ配信ネットワーク」とも呼ばれる。CDNでは、多数のコンテンツ配信サーバを配置し、コンテンツデータを一時的に保存(キャッシュ)・配信する。オリジンサーバへのアクセスの集中が抑えられ、表示・配信の遅延やサーバダウンのリスクを抑えることができる。

キャッシュコントロール(CDN)

CDNにおけるキャッシュコントロールとは、主にCDNサービスプロバイダーがコンテンツのキャッシュ動作を管理するための仕組みや機能を指す。大きく「キャッシュ型」と「ミラー型」の2種類があり、各特長により事業者の選択はわかれている。

 

・キャッシュ型:コンテンツへの初回アクセス時にオリジンサーバからキャッシュサーバにコンテンツをキャッシュし、2回目以降は複数の地理的に分散されたキャッシュサーバからコンテンツを配信する方式。この方式は、リクエストへの応答時間を早め、トラフィックを分散してオリジンサーバへの負荷を軽減するため、多くのCDN事業者で採用されている。

 

・ミラー型:配信コンテンツをキャッシュサーバーにミラーリングし、複数のサーバーに同じコンテンツを配置して配信する方式。この方式は、事前に配信するファイルが予めミラーリングすることで、オリジンサーバへの負荷を減らし、コンテンツの可用性を向上させることができます。事前に配信するファイルとエンドユーザーが把握可能なOTT事業者などで利用されることが多い。

キャッシュサーバ(CDN)

オリジンサーバ(配信したいコンテンツが実際に格納されているサーバ)にあるコンテンツデータを複製(キャッシュ)を保存し、ユーザーからの要求があった場合に、オリジンサーバに代わってコンテンツを配信するサーバのこと。

コンテナフォーマット(動画)

複数のデータを格納するための映像データと音声データ、メタデータなどを格納するためのファイルのこと。通称「コンテナ」。MPEG4(.mp4)、AVI(.avi)、MOV(.mov)、WMV(.wmv)などの形式(フォーマット)がある。

 

動画は「映像」と「音声」がそれぞれコーデックという規格によって映像データ、音声データとなり、動画のコンテナファイル(「MP4」「AVI」等)という“入れ物”にひとつにまとめられている。コンテナファイルの種類によっては、映像と音声以外の情報も同梱できる。

コーデック(動画)

映像や音声データをエンコード(符号化)/デコード(復号)するために規格化されたプログラムやアルゴリズムのこと。映像(ビデオコーデック)では「H.264 / AVC」「H.265 / HEVC」「VP9」「AV1」など、音声(オーディオコーデック)では「MP3」「AAC」「FLAC」などがある(一例)。

 

動画をインターネットで配信するためには、これらコーデックを用いてエンコード作業(映像をPCやスマートフォンなどで見られるように変換し、かつデータを圧縮する作業)を行う必要がある。動画配信、伝送、記録媒体など動画を取り扱うためには何かしらのコーデックが使われている。

D

ドロップフレーム

映像制作における2つあるタイムコード(ドロップフレーム/ノンドロップフレーム)のひとつ。

一定の間隔でフレームをスキップ(ドロップ)することで、タイムコードが表す時間と現実の時間を一致させる処理のこと。技術誕生の背景としては、日本のテレビ放送(NTSC方式)のモノクロ(30fbs)からカラー(29.97fps)化する際に、29.97fpsと30fbsとでは1時間で108フレーム(約3.6秒)の遅れのズレが生じることとなった。そこで、正確に現実の時間に対応させるために導入された。

ドメイン名

IPアドレスと紐づけを行う、人間が扱いやすいような文字列。 IPアドレスとドメイン名の紐付けを変えることで、ネットワーク構造が変化しても常にドメイン名は同じにできる。後ろから順に階層構造になっている。

DNS

Domain Name Systemの略で、大規模な分散データベースによるドメイン名(例:example.com)とIPアドレス(例: 192.0.2.1 )の対応関係を管理する仕組み。具体的には、インターネットユーザーがブラウザにドメイン名を入力すると、そのドメイン名をIPアドレスに変換するために使用されます。DNSは、トップレベルドメイン(TLD)(例:.com、.org、.jpなど)、セカンドレベルドメイン(SLD)(例:example.com)、サブドメインなど階層的な構造で管理されている。

DNSサーバ

ドメイン名をIPアドレスに変換する役割を持つサーバ。
DNS(Domain Name System)システム内でドメイン名とIPアドレスの対応関係を管理し、クライアントからのDNSクエリに応答する。インターネット上のコンピューターやサービスが正しく通信し、相互にアクセスするために重要な役割を果たす。

デコード(動画)

動画配信時に行われたエンコード処理で圧縮・変換された動画ファイルを、復号して映像・音声として再生可能な状態にする処理。対義語は、エンコード。

E

エンコード(動画)

映像や音声をパソコンやスマートフォンなどで扱えるデジタルデータに変換すること。
映像は連続する画像(フレーム)の集まりとして表現され、これを短い時間でパラパラ漫画のように切り替えることで視覚的に動いているように見せている。動画の配信はテキストや静止画ファイルの配信と比較すると膨大なデータ量となるため、エンコードの際に色情報や動きを間引いてデータ量を減らす「圧縮」をおこなうのが一般的となっている。対義語はデコード。

F

フレームレート

映像やアニメーションなどの動画において、1秒間に何枚のフレームを使用するかを表す数値。単位としては、「fps(frames per Second)」を使用する。1秒間のフレーム枚数が多いほど動画はスムーズになる。一般的に、アニメや映画は24fps、テレビ放送は29.97fpsで作られている。

フレーム内予測

映像のデータを間引く圧縮手法のひとつ。静止画圧縮手法を映像のフレームに用いるもの。1フレーム内の局所的な特徴やパターンを利用して、そのフレーム内のデータ量を削減する。

 

フレーム内予測のベースとなる考え方は、1フレームをセルと言われる小さなブロックに分割し、ブロック内で隣あった色が同じまたは似た場合にこれをまとめてデータ圧縮する。

 

別の手法として、フレーム間予測がある。

フレーム間予測

映像のデータを間引く圧縮手法のひとつ。「連続するフレームの前後は内容が似ている」という考え方に基づき、前後のフレームを参照し、差分情報のみを圧縮することで、データ量を削減する。

 

別の手法としてフレーム内予測があるが、時間軸のある映像の場合はフレーム数が多いため、フレーム内予測だけでは全体の軽量化には限界がある。

 

フレーム間予測、フレーム内予測は、単独でではなく組合わせて使用されることでて、高度な動画圧縮アルゴリズムが開発されている。

Flash Video

米Macromedia社(現Adobe社)が開発した動画形式。2002年のFlash MX(バージョン6)からサポートされた。Flash Videoは、動画を他のオブジェクトと同様に重ね合わせ、スクリプト処理、制御を行うことができるため、サイト上での埋込み動画を可能にした。これにより、Webサイトでの表現方法がテキストと静止画ベースから動画ベースへと大きくシフトしていくこととなった。再生には、同社Adobe Flash Playerなどの再生ソフトが必要。

 

なお、セキュリティの問題やHTML5やその他のオープンな規格の登場といった技術の進化を背景に、Adobe Flash Playerは2020年にサポートを終了している。

G

GOP

「Group of Picture」の略。動画圧縮技術における用語で、一連の映像フレームのグループを指す。典型的なGOPは、Iフレーム(Intra-coded Frame)、Pフレーム(Predictive-coded Frame)、Bフレーム(Bi-directional Predictive-coded Frame)の3つのタイプのフレームで構成される。

GSLB(CDN)

Global Server Load Banancing(広域負荷分散)の略。DNSを利用して物理的に離れた複数の拠点にアクセスを分散させる方式。GSLBはDNSを利用して、クライアントからのDNSクエリに対して、負荷の少ないサーバへ誘導するよう応答を返す。これにより、ユーザーは負荷の少ないサーバへ効率よくアクセス可能となる。

H

HDMI

「High-Definition Multimedia Interface」を略した通信規格。 映像・音声・制御信号を1本のケーブルでまとめて通信ができるため、テレビやパソコン、ゲーム機など様々な機器に使用される。

非可逆圧縮(動画)

データ圧縮に関する分類(非可逆圧縮、可逆圧縮)のひとつ。圧縮符号化の過程で人の視覚・聴覚に与えにくいデータを削減することで、データ圧縮率を高める。元データ通りの復元はできず、品質は劣化する。

 

非可逆圧縮方式を用いたコーデックとしては、動画では、H.264 /MPEG-4 AVC、H.265/HEVなどが、音声では、MP3、AAC (Advanced Audio Coding)などがある。

HLS

HTTP Live Streamingの略。インターネット上で動画や音声をストリーミング配信・再生を行うためのプロトコル。米Apple社が開発し、インターネットで利用される技術の標準化を推進する団体IETF(Internet Engineering Task Force)により標準化され、現在ではiOSだけでなくAndroidや多くのWebブラウザなどで再生可能。

 

特長としては、動画や音声などのメディアを小さなセグメントに分割し、HTTP経由でクライアントへ配信する点があげられる。細かな各セグメントは個別に配信できるため、機器の性能や通信回線の速度に応じて配信ビットレートを上下させるABR(Adaptive Bit Rate/アダプティブ・ビットレート)が可能になる。

 

また、上記以外にも、Webサーバを利用した配信によるスケーラビリティやキャッシュ利用が容易な点、AES-128暗号化をサポート、デジタル著作権管理(DRM)システムとの統合が可能などのメリットがある。

H.264/MPEG-4 AVC

動画圧縮規格。ITU-Tが「H.264」と勧告し、ISO/IECでは「MPEG-4 Part 10 Advanced Video Coding(通称:MPEG-4 AVC)」と規定している。ITU-TとISO/IECが共同で策定したため、両者の呼称を「H.264/MPEG-4 AVC」「MPEG-4 AVC/H.264」と併記することが多い。一般的には、H.264と呼ばれることが多い。

 

主な特長として、前世代のMPEG-2やH.263に比較し2倍の高い圧縮効率、機器の性能や通信回線の速度に応じて配信ビットレートを上下させるABR(Adaptive bit Rate/アダプティブ・ビットレート)が可能なこと、幅広いデバイスやプラットフォームで再生可能な点などがあげられる。

H.265/HEVC

H.264/MPEG-4 AVC後続の動画圧縮規格。最大の特長として、H.264/MPEG-4 AVCの2倍となる高い圧縮率と高画質があげられる。

 

国際的な標準化団体のISO、IEC、ITU-Tの合同調査部会により仕様が策定されたため、ITU-TはH.265として、ISOとIEC共同の規格名ではHEVCと記載される。

I

インターレース解除

インターレース方式の映像をプログレッシブ方式に変換すること。デインターレース処理ともいう。奇数行と偶数行の2つのフィールドに分けられた画像を1枚のフレームのに合成して表示する。

 

インターレース方式はブラウン管を使用したアナログテレビの表示特性にあわせた表示方式でテレビ放送で使用されているが、そのほかの用途ではプログレッシブ方式が主流となっている。

IPアドレス

パソコンやスマートフォンなどでネットワーク通信をする場合に各機器に一意で割り当てられるネットワーク上の住所のような存在。データの送信元や送信先の識別に使用される。

 

常に同じIPアドレスを使用してインターネットに接続する「固定IPアドレス」と、一定期間が経過していたり再接続のたびにIPアドレスが変化する「動的IPアドレス」がある。

インターレース

映像の表示方式のひとつで、1枚のフレーム(画像)を奇数行と偶数行に分けての2つのフィールド(画像)で表現する。1秒間に30フレームの映像をインターレース表示する場合、フィールドは1秒間に60フィールドとなる。奇数行のフィールドをトップフィールド、偶数行のフィールドをボトムフィールドと呼ぶ。

 

インターレース方式はブラウン管を使用したアナログテレビの表示特性にあわせた表示方式で、ブラウン管の表示特性により動きを滑らかに見せる効果が期待できる。

1フレームを2枚フィールドに分けて表示するインターレース方式に対して、1フレームを分割することなく表示する方式をプログレッシブ方式という。
地上波デジタル放送では引き続きインターレース方式が使用されているが、動画配信サービスなどの用途ではプログレッシブ方式が主流となっている。

K

キーフレーム(動画)

通常、動画はフレームレートに基づいて複数の静止画像(フレーム)を連続表示することで動きを表現しているが、キーフレーム(Key Frame)はその動画の中で特に重要な瞬間や変化が起こるフレームを指す。1枚の静止画(フレーム間圧縮を行っていない画像)として存在し、前後のフレームとの間の変化を計算するために使用される。

 

エンコーダーの設定にもよるが、キーフレームはシーン変更があった場合に挿入されるほか、○フレーム、○秒に1回というように差分情報を一定の間隔で取得できるように挿入される。一般的には、動きの多い映像では、短い時間でモノが大きく移動したり変化したりするため、キーフレームを短い間隔で入れる。

可逆圧縮(動画)

データ圧縮に関する分類(可逆圧縮、非可逆圧縮)のひとつで、圧縮されたデータの復元時に、完全に元に戻すことができる。情報の損失なしにデータサイズを削減ができるが、圧縮率は低い。

 

可逆圧縮方式を用いたコーデックとしては、動画では、Ut Video CodecやFFmpegプロジェクトで開発されたFFV1 (FFmpeg Video Codec 1)が、音声では米Apple社が開発したApple Lossless (ALAC): 、FLAC (Free Lossless Audio Codec)などがある。

L

ロードバランサ―(CDN)

アクセス集中によるCPUやディスクの負荷上昇を回避するために、サーバにかかるLoad(負荷)をBalance(分散)する装置。負荷分散による応答時間の改善、冗長性、スケーラビリティなどの機能を保つ他、セキュリティ面ではDDoS攻撃や不正なトラフィックからシステムを保護する役割を果たす。Load Balancerを略して、LBと表記する。

M

マルチCDN

単一のCDNではなく、複数の異なるCDNを同時に利用することで、コンテンツの配信性能を向上させる技術的アプローチのこと。大規模なコンテンツ配信におけるピークトラフィック対策や視聴品質の向上を目的に用いられる。

 

サービス提供者にとって、マルチCDN導入の難しい点としては、異なるCDNの仕様や挙動や運用方法の違いを理解し、全体設計へ適切に組込む必要性があげられる。また、対象CDNが増えた場合はオリジンサーバへの負荷を考慮した管理が求められる。

MPEG-DASH

DASHは、Dynamic Adaptive Streaming over HTTPの略。インターネット上で動画や音声をストリーミング配信・再生を行うためのプロトコルおよびデータ形式の一つ。

 

ISO(国際標準化機構)とIEC(国際電気標準会議)の合同委員会がMPEG標準の一環として2012年に標準化(ISO/IEC 23009)された国際規格。国際規格のため、特定企業の意向や製品仕様に依存せず、様々なネットワークやプラットフォーム上での相互運用性が高い。

 

機能面での特長としては、Webサーバを利用したHTTP配信によるスケーラビリティやキャッシュ利用が容易な点、機器の性能や通信回線の速度に応じて配信ビットレートを上下させるABR(Adaptive Bit Rate/アダプティブ・ビットレート)が可能なこと、HLSと比較して幅広いコーデック(H.265など)をサポートしていることなどがある。

MPEG-2

動画・音声データの圧縮方式の国際的な標準規格の一つ。DVDや放送(SDTV、HDTV)をはじめ広く使われている。

MPEG-4

ISO(国際標準化機構)とIEC(国際電気標準会議)の合同作業部会であるMPEG委員会がMPEG-2に次いで策定した動画・音声データの圧縮方式の国際的な標準規格の一つ。

 

MPEG-4における動画圧縮方式は、「ISO/IEC 14496-2」と「ISO/IEC 14496-10(通称MPEG-4 AVC)」の2つがある。MPEG-4 AVCは、ISO/IECがITU-Tと共同で策定したため、ITU側では同じ規格を「H.264」として標準化している。一般的に、「MPEG-4形式」という場合は、H.264/MPEG-4 AVCを指すことが多い。

N

ノンドロップフレーム

映像制作における2つあるタイムコード(ノンドロップフレーム/ドロップフレーム)のひとつ。

 

ノンドロップフレームでは、タイムコードの欠落がなく、フレーム番号が連番となり連続性が保たれる。

 

タイムコードは整数値で割り当てられるため、テレビ放送で使用される29.97fpsのようなフレームレートの映像であっても1秒間に30フレームで表記する。

 

ノンドロップフレームで1時間ちょうど(01:00:00:00)となる映像コンテンツを29.97fpsで再生すると1時間と約3.6秒かかる。このズレを嫌って放送向けの映像制作ではドロップフレームが一般的に使われており、ノンドロップフレームは映画や動画配信など整数値のフレームレートで再生される映像の制作で使用されている。

O

オリジンサーバ

配信したいコンテンツが実際に格納されているWebサーバのこと。「Origin:起源、発端」が語源になっている。CDNを用いた通信では、オリジンサーバに格納されたオリジナルコンテンツを直接ユーザーに配信するのではなく、キャッシュサーバにコンテンツをキャッシュ(一時的に複製保存)して、エンドユーザーへスピーディーに配信する。

OVP(Online Video Platform)

動画配信に必要な機能が一元化されたプラットフォームやサービスのこと。一般的な機能例としては、エンコーディング、各種デバイスに適した動画形式や画質への自動変換、配信、視聴プレイヤー、コンテンツ管理、視聴分析などがあげられる。OVP利用者は、インターネット上の管理画面より動画コンテンツのアップロードや管理を行う。

P

プログレッシブ

映像の表示方式のひとつで、パソコンやゲームの液晶ディスプレイの表示や、動画配信サービスなどで広く使用されている。プログレッシブ方式は、1枚のフレームを1度に表示するのに対して、1フレームを2枚の画像に分けて表示する方式をインターレースという。

Q

QuickTime

QuickTimeは、米Apple社が開発した音楽、動画、画像、テキストデータなどを取扱うことができるマルチメディア技術。1999年のQuickTime 3よりストリーミング再生機能が追加された。再生には、同社QuickTime Playerなどのプレイヤーソフトが必要。

R

RTMP

Real-Time Messaging Protocolの略。米Macromedia社(現・米Adobe社)が開発したストリーミング配信・再生プロトコル。Flashプレーヤーとサーバ間で音声・動画・データのやり取りを行う。RTMPの主な利用法は Flash Video を再生することだが、動画再生に特別なプラグインを必要としないHTML5の登場により、動画配信においてもHTTPへの置き換えが進んでいる。

 

RTMPプロトコルは多数の変種があり、HTTPS を使いSSL で暗号化されたRTMPS、HTTPトンネリングのためのRTMPT、DRM用途でのpRTMPなどがあげられる。

RealVideo

米RealNetworks社が開発した動画形式。1997年に初リリース以来、現在まで多くのバージョンが開発されている。

1990年代から2000年代初頭にかけて、主要ストリーミング形式の1つであり、同社のRealPlayerをはじめとしたプレイヤーソフトで再生する。

S

ストリーミング

動画配信・再生方法のひとつ。
視聴者が動画ファイルの全てをダウンロード完了後に再生を開始するのではなく、データを小さな塊に分割し、受信しながら再生する。全データを受信完了してから再生するダウンロードと比べると、短い待ち時間で再生が開始できる。受信データは一時的に端末に記憶されるが、再生終了終に端末より消去する仕組みになっている。そのため、ストレージ容量を圧迫することなく、また著作権管理などのシーンにも適している。

SRT

2014年にカナダのHaivision社が発表した次世代映像転送プロトコル。低遅延と高映像品質の両方を実現できる点で、ライブ中継やリアルタイム性を重視する放送および映像配信サービスをはじめとした業界で特に注目されている。

 

「Secure Reliable Transport」を略となる、安全性(Secure)、確実性(Reliable)、ネットワーク接続(Transport)の名称が示す通り、どのようなネットワーク環境でも音声、映像を低遅延で安定的に配信可能なよう設計されている点に特長がある。

SDI

「Serial Digital Interface」を略した通信規格。主に業務用映像に使用され、アナログ信号で生じていた画像劣化やノイズ発生を抑えた高精細なデジタル映像の伝送が可能。

SLB(CDN)

サーバロードバランシング(Server Load Balancing)の略で、複数台のサーバへのアクセスを均等に分散し、システム全体の性能・可用性を向上させるためにサーバ負荷を管理する技術。

T

タイムコード

映像や音声の時間情報を表現するためのシステム。編集作業でシーンの正確な位置を特定するために使用する。一般的に、「時(Hours):分(Minutes):秒(Seconds):フレーム(Frames)」で示される。

U

ユーザーナビゲーション(CDN)

CDNにおけるユーザーナビゲーションとは、多数配置したキャッシュサーバに対して、どのキャッシュサーバから誰に配信するかを決めることを指す。誘導方式により以下3つに大別され、複数の仕組みを組み合わせている場合も多い。

 

1.DNS:キャッシュDNSサーバー単位で誘導する方式。DNSの仕組みを利用してるため、汎用性が高く、3つの中で最も一般的。多数のCDN事業者で用いられている。

 

2.IP Anycast:AS番号単位で誘導する方式。大まかな制御となるため、大陸など大きな単位で制御する場合に利用されることが多い。細かな制御が難しいため、他の方法と組みあわせる場合も多い。

 

3.API:クラインとIPアドレス単位で誘導する方式。コンテンツアクセスとは別に、制御用APIを用いて接続する先のサーバ情報をクライアントへ指示する。細かな制御が可能だが、サイトや動画プレイヤーなどの作りこみが必要なため、採用ハードルは高い。

V

VBR(Variable Bit Rate/可変ビットレート)

3種類ある動画・音声再生におけるビットレート設定(VBR、CBR、ABR)のひとつ。

 

VBRでは、セミナーなど動きが少ない映像では低ビットレートを、スポーツなどの動きやシーン切替の激しい映像では高ビットレートを配分し、動画のシーン(変化・動き)にあわせて効率よくビットレートを変動させる。そのため、CBR、ABRに比べて、ファイルサイズ当たりの画質(音質)は、最も良くなる。

 

その一方で、高ビットレートのシーンでアクセス集中した場合には、予想外にネットワークを圧迫する可能性があるため注意を要する。

W

Windows Media Video

米Microsoft社が1999年に開発した動画形式。Windowsプラットフォーム向けの動画フォーマットとして広く使用され、同社再生ソフトウェアであるWindows Media Playerでの再生以外にも、Windowsプラットフォーム上で広く利用されている。