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事業成長を加速させる内製型開発組織に向けて

事業成長を加速させる内製型開発組織に向けて

開発組織の変革に関するニュースや記事を目にすることが増える一方で、変革に対するITエンジニア自身の想いを聞く機会は案外限られています。例えば、自社の開発現場における変革への手応えや具体的な環境面での変化、自身のキャリアや成長への影響などについて、ITエンジニア自身はどのように感じているのでしょうか。

 

そこで今回は、開発組織全体の技術リードを担うチーフテックリードのF.O.さんにインタビュー。内製型開発組織に向けて変革中のJストリームの様子について、ご自身のキャリアに関するお話とともにうかがいました。

F.O. チーフテックリード(中途入社・5年目)

 

大学院で芸術工学を学んだ後、2004年にWeb系の開発会社へ入社し約7年活躍。その後フリーランスを経て、教育関連サービス企業でバックエンドエンジニアとして開発に従事。2017年にJストリームへフリーランスとして参画し、2年後に正社員となる。入社後は開発から運用まで幅広く手がける。2021年には、ITエンジニア向けの人事制度「Tech人事制度」の開始とともに適用を受け、現在はチーフテックリードを担う。

入社の決め手は、技術の伸ばし先が豊富で、希少な経験が積める環境だったこと

―― まずは、F.O.さんの経歴について教えてください。

私は美術系の大学院で芸術工学を専攻し、プログラムを使った写真の管理方法を研究していました。学生時代から自分で作ったプログラムをインターネット上で公開するようなことはしていました。卒業後はWeb系の開発会社へ就職。ECサイトや社内で運用するソフトウェアなど、請負案件の開発を手がけました。当時はまだフレームワークなどがなく、スクラッチ開発がメイン。フロントエンドもバックエンドも担っていました。

 

7年ほど経験を積み、一旦フリーランスに転向。その2年後、フリーランスで常駐していたプロジェクト先に正社員として入社しました。そこは教育関連サービスを手掛ける企業で、私は子ども向けのSNSアプリを作る新規プロジェクトにバックエンドエンジニアとして参画したんです。今の仕事とも繋がりますが、動画配信やチャット、写真投稿などができるアプリ(Android、iOS)を企画・開発しました。

 

Jストリームとの関わりは2017年からです。はじめはフリーランスとして業務委託という形でしたが、2年後に正社員に。入社後しばらくは、CDNサービスの管理画面を開発から運用まで担当しました。現在は、チーフテックリードという技術リーダーの立場として、各開発プロジェクトを横断して全体最適や効率化を推進する役割を担っています。

F.O.さん

―― フリーランスのまま自由に活躍する選択肢もあった中で、なぜJストリームへの入社を決めたのでしょうか?

理由は大きく2つあります。

 

まず1つ目は、Jストリームが扱う技術領域に興味があったこと。動画配信やCDNという仕組みに興味があり、ひかれましたね。Jストリームのように、自社でサーバーを保有して、オンプレミスでCDN構築をし、大規模な配信システムを運営できる会社は希少です。詳細な技術や仕組みを深く知りたくなりました。フリーランスのまま活動する道とも迷いましたが、ここに腰を据えるのは面白そうだと感じ、正社員としての働き方を選択しました。

 

動画配信では、様々な技術が使われています。技術の伸ばし先が豊富にあるこの環境は、とても魅力的でした。しかも、動画配信関連は、特に技術革新が激しい領域で新しい技術が次々と出てきますからね。

 

もう1つは、規模感の大きさですね。Jストリームでは、誰もが知るような超有名イベントをはじめ大規模な案件を数多く手がけています。私がこれまで経験してきたプロジェクトの規模は多くても数万ユーザーくらいでしたが、Jストリームの手がける規模ははるかにその上をいきます。

――Jストリームでの経験は、ご自身のキャリアへどのような影響がありましたか?

技術的な知見については、幅と深さの両面で多く得られましたね。

 

まず幅についてですが、社内には幅広い専門性を持つエンジニアが所属しています。動画配信では多種多様な技術が用いられるからです。そのため、さまざまな技術領域に触れることができ、新しい技術領域を経験したり踏み込みやすい環境だと思います。実際、私自身がそうでした。私の軸は、バックエンドです。しかし、Jストリームへ入社以来、フロントエンド、バックエンド、CDNサービスの開発・運用、チーフテックリードと幅を広げることができました。

 

次に深さについてですが、私がJストリームで働いてみて最初に驚いたのが、蓄積されたノウハウの量と質でした。このノウハウを生かしながら、次の一手を考えられるのはエンジニアとして、とても刺激的です。

 

動画を使ったサイトは、いまやごく日常的なものです。今後も、動画活用が増えることはあっても、減ることはないと思います。ITエンジニアのキャリアとして、貴重な経験が積めたと思います。

内製型開発組織に向けた変革

―― 入社して約5年ですが、組織の変化をどのように感じていますか?

私が入社した頃は開発の一部を外部委託していましたが、ここ数年で内製化が一気に進みました。開発組織の強化は事業成長上の要であり、新しい組織作りに向けて開発環境や制度等が刷新されています。後述する「Tech人事制度」もその流れで誕生しています。

 

ITエンジニアの意見が、サービス企画に反映しやすいよう体制変更も行われています。BizDevOpsに向けた体制整備も進められ(図1)、プロダクトごとに2022年度からは開発組織の中に「企画課」という新たな部署もでき、より開発側の企画要素が強まったなと。サービスの方向性にも、エンジニアの意見や事情が加味されやすくなった気がします。

【図1】自社プロダクトの開発体制

―― F.O.さんの役職であるチーフテックリードとは、どのような役割ですか?テックリードとともに教えてください。

テックリードは、各プロジェクトととともに開発現場の最前線に立ち、技術的なリードを担う役割です。たとえば社内で新しいプロジェクトが立ち上がった際、まずはテックリードが設計の草案を考え、技術選定をします。テックリードは、インフラ、フロントエンド、バックエンドというように技術領域ごとにわかれ、技術レビューなども担当します。

 

テックリードは、プロジェクトを横断する動きをとります。横断して、開発組織にとっての全体最適や効率化の視点で俯瞰します。これにより、例えば、2つのプロジェクトで同じようなシステムが作られることを避けられるといったメリットがあります。

 

チーフテックリードは、複数のテックリードの間に立ち、とりまとめる立場です。これだけ聞くとマネージャーのようですが、一般的な管理職のように勤怠や予算の管理は行いません。あくまで技術者の立場で、テックリードと一緒に設計をブラッシュアップしたり、問題点を抽出し、必要な調整を進めます。

―― テックリード、チーフテックリードは、どのようにして任命されるのですか?

テックリードやチーフテックリードは、「Tech人事制度」適用者の中から任命されます。Tech人事制度の適用希望者は、年に1度ある技術試験を受けます。

JストリームTech人事制度概要図
【図2】Tech人事制度

―― F.O.さんがTech人事制度を利用した理由やきっかけは何でしたか?

私は、以前、ラインマネージャーとしてマネジメントを経験したことがあります。その際には、勤怠管理や予算管理なども行わねばならず、どうしても技術の現場や文化から遠ざかってしまいました。でも、私はもっと技術的な側面に特化をして仕事をしていきたかったんです。「Tech人事制度」が提示してくれたキャリアは、私の理想像にかなり近かったため、試験を受けることにしました。

――実際にチーフテックリードになってみて、いかがでしたか?

とても満足しています! プロジェクトを横断的に見る立場なので、かなり視野が広がりました。プロジェクトの見え方が変わったことで、視座も高まったなと。またひとつ成長した実感があります。

 

チーフテックリードとして、技術面に限らず、ITエンジニアに関連する制度や働き方についても携わっています。例えば、先述の「Tech人事制度」は2021年に誕生したばかりなので、よりITエンジニアが働きやすくなるよう仕組みやルールをブラッシュアップする任務も担っています。

 

ITエンジニアは、ある程度経験を積んだら管理職に移行しないと評価が上がらない、というのが一般的ですよね。しかし、技術者の中には「生涯現場で活躍したい」と考える方も少なくありません。そこで設けられたのが、「Tech人事制度」です。

 

実は、「Tech人事制度」は新しい制度であるが故に、社内のITエンジニアからは、「いろいろ大変になるんじゃないか?」と思われている気がするのですが、案外大変なことは少ないんです。自分の経験から言うと、むしろ技術的な部分を軸に評価してもらえるので、ITエンジニアにとってはかなり過ごしやすくなると思います。

F.O.さん

―― チーフテックリードとして意識していることはありますか?

根本で言えば、「ITエンジニアにとって、何かをしやすくなる」という視点ですね。例えば、エンジニアが働きやすい、開発しやすい、コミュニケーションしやすい、スキルアップやキャリアアップをしやすいといったことです。

 

そのためには、「各プロジェクト・現場の視点」と「全体最適の視点」の2つを、常に行き来しながら考えるようにしています。ただ俯瞰するだけでなく、現場で働く開発メンバーがどう考えているのか、どうしたらもっと働きやすくなるか、開発の最前線に対して何を還元できるか…と、個人レベルにも焦点を当てて考えるようにしていますね。

ITエンジニア目線で組織・サービス・事業の成長に貢献する

―― F.O.さんが思う、Jストリームの特長や「ここがすごい!」という点は、どこですか?  

私がJストリームへの参画当初から関わっていたCDNのサービスでいうと、システム内部で独自の工夫が施されており、他社にはなかなか真似できないだろうなと思います。他社での多くの場合は、AWSやGCPを活用するのですが、Jストリームではそれ自体を自ら作り出しています。

 

その上に、プラットフォームサービスやソリューションを構築し、提供しています。この構図の強みは、トラブルシューティングにおいて圧倒的なスピード感と課題解決力を持てることです。インターネットの基盤構築を含めて、とても深いところでサービスを設計し、作っている会社なのだなと、改めて凄さを感じました。

 

一貫して動画配信やCDNを軸に事業展開してきましたから、ノウハウを含め専門性はとても高いと感じます。もちろん現状に満足せず技術力を高めていくことは前提ですが。

―― 専門性と独自ノウハウは魅力ですが、一方でスキルの汎用性についてはいかがでしょうか。

25年以上の会社ですので、正直に言えば、古いシステムなど技術的な負債は残っています。しかし、ここ数年で一気にアジャイルやスクラムなどの動きも取り入れ、開発スピードをあげていこうという動きを強めています。

 

事業的には、動画配信領域に軸足をおいているという点において、ニッチとも言えます。ただし、取り扱う技術においては、標準的な技術を中心にトレンド技術を用いるように設計しているため、他の分野でも通用する技術が身につくのではないかと考えています。

 

また、以前は一つのシステムを大きな一枚岩で作るモノリシックな開発が多かったのですが、今はマイクロサービス構造に置き換わっていて、開発のスピードと柔軟性を高めています。これは、社内の共通開発基盤である「J-Stream Cloud」というものです。

―― Jストリームの開発組織は、どんな雰囲気ですか?

個々の人柄という面だと、とてもマジメな人が多いと思います。口よりも、まず手を動かすというか、行動することを重んじ、着実に仕事を進めていくタイプというか。

 

また、責任感の強い人が集まっていますね。Jストリームのサービスは、年間1,200社以上ととても多くの企業で導入されています。自社の提供サービスの規模や影響力を考えると、難しくもあり、緊張もありますが、一方でそれは大きなやりがいでもあります。

 

組織は、ITエンジニア同士がとてもフラットに物事を言える雰囲気が特徴的だなと思いますね。開発工程の上流から下流まで幅広いITエンジニアが在籍していますので、自分以外の専門について気軽に質問したり、情報交換していますね。マネジメント層を含め、社歴や年齢といった上下関係にこだわらない人ばかりです。

F.O.さん

―― F.O.さんが描く理想の開発組織とは?

技術の力で事業成長をさらに加速させる開発組織ですね。私たちはITエンジニアですから、ITエンジニア目線でのサービス機能の追加やアイデアを増やすことで、自社サービスを向上させ、事業成長に貢献していければと思います。

 

Jストリームの開発組織の魅力のひとつである各々の専門性を活かし、さまざまな角度から意見があがることでアイデアも出やすくなり、サービス品質も向上していくはずです。そのため、もっとITエンジニア目線でのアイデア出しを強化していきたいですね。

 

開発の内製化が進み、多くの若手メンバーが活躍しています。一方で、テックリードやチーフテックリードなど技術リーダーは不足しています。

 

だから、もっと「Tech人事制度」を利用してくださる方が増えたらなあ…と個人的に願っています(笑)。「Tech人事制度」適用には、年齢や社歴は一切問いません。高い技術力を持ち、新卒3年目で活躍するテックリードもいます。「生涯技術者でいたい」「とにかく技術と向き合っている時間が好き」という方は、ぜひチャレンジしてほしいです。

―― 変革に向けた取組みはまだまだ続くと思いますが、今後も楽しみに、そして期待しています!

F.O.さん

※在籍年数や役職を含む記載内容は、取材当時のものです。その後、状況が変化していることがあります。

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